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結局、みんなで気持ちよく作るのが大切 〜アートディレクターのトリセツ(後編)〜
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結局、みんなで気持ちよく作るのが大切 〜アートディレクターのトリセツ(後編)〜

様々な「肩書き」の定義を、それぞれの職につく人々が感じる「喜怒哀楽」から紐解いていく企画「カタガキのトリセツ」。今回のカタガキは「アートディレクター」。

ご登場いただく渡辺潤さんは、異例のダンス業界から転身し、エディトリアル・グラフィックなど幅広いアートディレクションを行う、カレイドスコープの代表。永瀬由衣さんは、CDジャケットや広告のビジュアルディレクションを得意とし、11年関わってきた「れもんらいふ」を2022年6月に退職。フリーランスとしての活動を始めたアートディレクター。守田さんは、ペーパーパレードの代表として、紙や印刷の魅力を伝えてきたアートディレクターだ。

前編はこちら

「ポップ」が伝わらないのは哀しい!

山本

では次に喜怒哀楽の哀、こういうとき哀しい!というのを永瀬さん、お願いします。

永瀬

たしかにいろいろ経験してるかもしれないんですけど、めちゃくちゃ細かいことで……。写真のディレクションが多いので仕方ないのですが、お顔の差し替えだったり、カラーライティングをすごい大事にしてたディレクションの案件で、肌にかかった色を取ってください、と言われたときですね。

渡辺

めっちゃ具体的!すごい!

守田

僕、案件としてプリンティング(印刷)のディレクションもやってるので、それを消してくれってすごいお願いされる側なんですよ。

永瀬

そうですよね。

守田

それたぶん大事だと思うんですけど、本当に消していいんですか?ってなりますよね。

永瀬

案件や出演者さんによってはすごくわかるんですけど、こっちもそこを強くディレクションしてたところだったりすると、一瞬戦って、やっぱダメでしたね……みたいな感じになるときが。

渡辺

一瞬戦いますよね。ダメ元で。負け戦なのは分かってるんですけど。

守田

通ることなんかないから言うだけ無駄ぐらいの気持ちで。

永瀬

0.0001パーセントぐらいの希望で。

渡辺

でも言うんですよね。

山本

皆さんが口をそろえて、負け戦と分かってるけど戦ってみるところに哀しさが滲み出てますね。

守田

僕もこれは悲しいなと思いました。「ラベリングとかマウンティングされたとき」って書いたんですけど。アートディレクターってぶっちゃけて言うと、言われれば何でもできるし、でも何でもできるわけじゃない。ちょっとネガティブな、アートディレクターなんだからあなたはこれ、やらなくていいですよみたいな。

渡辺

ああ、ありますね。

守田

いえいえ僕めっちゃ勉強できますけどって思うんです。そこに対して勉強して向き合えば絶対できる。あとは僕の姿勢には合わなかったりとかっていうときにその人の定規で何か評価されたりとか言われちゃうっていうのは悲しいなっていうのはありますね。だからもうすごい怒ってシュンってする瞬間ですね。

永瀬

めっちゃわかります。

守田

結構、業界をまたぐと「クリエイターなんだからそんなこと考えなくていいよ」「ものだけ作ってればいいでしょ」って言われがち。特に僕はビジネス界隈で、いわゆるクリエイティブの観点から、どういうふうにすればそれが利益につながるかという話をするときに起こりますね。いや、ものだけ作ってられる時代だと思うなよって。

山本

このOPEN FIRMが掲げている「クライアントとクリエイターの壁を越える」というコンセプトは、そこから始まってると言えるかもしれません。まさに業界が違う人との分かり合えなさ、壁を作られちゃうという部分をなくしていきたいですよね。

永瀬

そうですね。なくしたい。

渡辺

いい流れかもしれないですよね。そのへん全部引っくるめてこれだと思うんですよ。「相手に伝わらなかったとき」。もちろん手動かす時間も大事ですけど手動かすまでにいろんなこと考えたりとか調べたりとか、言ってしまえば良かれと思っての部分も多いんですけど、これくらいの想いでこれくらい時間かけてこれくらい作ったよっていうのが1を求められてたら1が伝わってくれればいいと思うんです、今度は逆に。(前編より)むしろ、1伝わったらいいほうだと思うんですよね。僕の肌感だと頑張って3くらいで伝えて、1伝わんなくて0.7くらいが限界だと思うんですよ。それが0.2しか伝わらなかったらやっぱり悲しいし、あれ、俺今回結構頑張ったんだけどなみたいなのだったりとか、こんだけ話したんだけどなとか。なくしたいですね。

永瀬

めっちゃわかります。

渡辺

ラフのやり取りしながら何回も何回も話ししても、なんでこの人にこんな伝わんねえかなぁ、みたいなときってありますよね。

守田

時間は全然比例しないんですよ、そういうとき。「見たら何か違う」とか言われたときってへこみますよね。

渡辺

ほんとに、「見たらなんか違う」は悲しい。

永瀬

総合的に悲しいです。

渡辺

難しいことだと思うんですよ。言葉で話してることを頭の中でそれぞれ想像みんなするわけで、その頭ん中って見えないじゃないですか。最近もちょっと話したことなんですけど、僕ポップって言葉がすごい怖いと思ってて。「この感じでもうちょっとポップにできます?」って言われたりするじゃないですか。その思い浮かんでるポップって全員全然違うんですよ。

永瀬

絶対違う。

渡辺

だから僕が思い浮かべたポップでちょっとポップにしてあげても相手からしたら、「ん? 何でこうなっちゃったんですか」みたいなこともある。だから最近は言葉だけではなるべく終わらせないように、極力リファレンス出したり。こういうポップとこういうポップ、これだけたくさんあるポップの中からどのポップを言ってますか?って資料を作って出したりとか。

永瀬

ほんとにわかります。ほんとにそう。いわゆる万国共通のポップって何となくあると思ってて。K-POPとか結構好きなんですけど、めちゃくちゃ万国共通受けするポップなクリエーションをするところもあるんですよ。それがたぶんみんなの思うポップなんですが、最近トレンドになってきているポップって、またちょっと洗練されてたりとか。自分たちの世界観を持ってそのポップを貫いているグループっておしゃれだったりする。少し前のトレンドの方は、言ってしまえば少しダサかったりもする。

守田

すごくわかります。ほんとわかります。おしゃれじゃないんですよね。

永瀬

これでも私の中ではポップなんだけど、今思うポップはこれなんだけどなみたいなのが。だからポップってほんとに難しいし、怖いですよね。

アートディレクターだからこそ、やっぱり作っていたい。

山本

「哀」の対極にあるポップという言葉ですごく盛り上がりましたが、最後に「楽」についても話していきましょう。

永瀬

私は「好きな人たちと一つのものを作る幸福」。いろんな人が関わってくるお仕事なので、そんな中でも私の場合は写真とか衣装とかヘアメイクとかってすごい大事になってくるんです。そこをご指名できるときはいつも信頼している方々とやらせていただいて、あとクライアントさんとかでも同世代の女子が多い現場とかもあるんです。そういうときの、それこそポップの感覚が一緒の人たちとのものづくりというか。

守田

いいですね。

永瀬

そういうときはすごく、ああ楽しいなぁって、仕事をちょっとだけ忘れた楽しさがあって、同じいいものを目指している人たちと自分の想いも伝わってるときはすごい楽しいお仕事だなって思います。

山本

まず好きな人たちと一緒の時点で、怒りや哀しみで出てきたコミュニケーション不全が起きないですもんね。そこを乗り越えた人たちと仕事ができる。

永瀬

そうですね。ちょっとまとめみたいな感じになってるんですけど、それこそクライアントとの垣根を越えるっていうワードを私はすごく大事にしてて。クライアントって結構縦関係というか、へこへこしなきゃいけないというイメージがあるというか。お仕事する上では大事だと思うんですけど、一つの作品を作るチームにしたいなって私は常々思っているんです。そこを頑張ってみんな好きな人たちになったらいいなっていう感覚で努めております。

渡辺

僕も近い感じですね。まずは「やりたいことがやれたとき」。もう一つは「みんなで作れた、やれたなって思うとき」。最後は「未来を感じるとき」ですかね。何か一つの案件で目指すものがあって、みんなでこうしたいねって話したのが実現できたときですね。

守田

最初の「喜び」にも似てますね。

渡辺

これは変な話、こんなのやりたくないねって言った案件だったとしても、仮に、みんなでそこに向かってものを作れた、何か今回すごいやってたよねみたいな感じなら別にそれでいい。みんなでやれた、作れたって感じるときっていうのはやっぱ楽しいかな。未来を感じるときはもう、良い悪い関係なく先につながる感じがしたり、自分がその案件をやって成長したって感じるとか。何でもいいから先の何かにつながるものだったら面白くてもつまんなくてもそれは楽しいって思える一つだなっていう感じですかね。

守田

僕はプレーヤーでいるとき。昔から蚊帳の外が苦手で。つらいじゃないですか、蚊帳の外って。

永瀬

つらい、つらい。

守田

あっちで何か楽しそうなことやってるなみたいな。意識してるのは、自分がプレーヤーでいるためには常に勉強しなきゃいけないし、自分の感覚っていうものを信じなきゃいけない。今の自分の持てる何かっていうのもある程度常に絞り出しながらやってかなきゃいけないから、プレーヤーでいることってやっぱくじけそうになるんですよ。それでもプレーヤーでいれるっていうのはかなりうれしい。

山本

ありがとうございます。それこそアートディレクターって、一人でやるというよりはチームを作っていくことが多いですよね。そのチームに、自分がアートディレクターのプレーヤーとしてどう入っていくかというのも、この肩書きの特徴かなと思いました。最後にまとめると、喜怒哀楽の「喜」は「良いものができたとき」、怒は「踏み躙られたとき」哀は「ポップがわからないとき」、楽は「作ってるとき」ということで。

渡辺

今日話してみて思ったんですけど、普段、アートディレクターって当たり前ですけど同じ現場で会うことはあり得ないんですよね。でも、作ってるものも仕事の進め方も全然違うアートディレクターのお二人とお話して似ているところがすごくたくさん見えた。もっと近づいてもいいんだなって思いました。

守田

確かにアートディレクターやってる人の話とかまじまじと聞くことってない。アートディレクター同士が同じ現場に入ると絶対けんかするじゃないですか。100パーセント。同じプロジェクトでアートディレクター二人は絶対いないほうがいいと。でもアートディレクターならではの孤独さみたいなのもあるので、それを分かってほしいみたいなのもある。話聞いてほしくてお互いのこと一番理解できるはずなのに現場で会うと一番混ざっちゃいけないっていう。

永瀬

たしかに、不思議な職種ですよね。

守田

こういう機会があると楽しく精神衛生上いいだろうなって気がしました。

山本

なかなか横の繋がりが作りにくいカタガキの人たちこそ、このOPEN FIRMなどの場を使って、繋がっていただけたら嬉しいです!みなさん、今日はありがとうございました!

この記事の主役
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所属や肩書きにとらわれることなく、クライアントとクリエイターが肩を並べて協業ができる「つくり手」のための会員制クリエイティブコミュニティ。「BE THE _______ MAKERS.」をコンセプトに、「つくり手」自身の想いを実現させる事を共通目的とし、中目黒Pavilionを拠点したワークスペースの運用、会員限定のオンライメディア、コミュニティがビジネスの窓口となるCreative Jam Sessionの実施など、様々な施策を展開する。

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