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コミュニティは、管理しすぎないのが肝心 〜コミュニティマネージャーのトリセツ(前編)〜
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コミュニティは、管理しすぎないのが肝心 〜コミュニティマネージャーのトリセツ(前編)〜

様々な「肩書き」の定義を、それぞれの職につく人々が感じる「喜怒哀楽」から紐解いていく企画「カタガキのトリセツ」。第二回は「コミュニティマネージャー」という肩書きを明らかにしていく。

登場するのは、&Co.代表であり、鎌倉のコワーキングスペース「北条SANCI」、渋谷ヒカリエの「渋谷〇〇書店」などを手がける横石崇さん。参加者が200名にのぼるオンラインコミュニティ「議論メシ」を主催する黒田悠介さん。そして下北沢BONUS TRACKの桜木彩佳さん。ファシリテーターはOPEN FIRM発起人でありHATCH代表の本間綾一郎が務める。

今日、コミュニティマネージャーの王道がいないじゃん(笑)

本間

カタガキのトリセツを進めてまいります。数多くのプロフェッショナルが集うクリエイティブの現場、そこには多種多様な肩書が生息しています。分かっているようで分かっていない、人によっては初耳かも。そんな肩書の正体をゲスト3人の喜怒哀楽からひも解き、自分たちの手でそのトリセツを作っていただきます。ではコミュニティマネージャーのトリセツ、早速始めていきたいと思います。

横石

あれ。今日集まっている面々をみるとコミュニティマネージャーと称して、いわゆるコミュニティーマネージャーの王道がいないじゃん。

桜木

そうですね。そうなんです。

黒田

真ん中がぽっかりいない感じ。

本間

いや、これは僕の狙いで、実は僕らが始めたOPEN FIRMっていうものも、場ではなく関係性。ほんとにクリエイター同士の繋がりっていうもの自体をコミュニティとして捉えたいっていう風に始めたのが今のOPEN FIRMの発想なんです。

桜木

なるほど。

本間

だから王道の人のお話を伺うよりは、ちょっと味付けの濃い皆さんをお声掛けさせていただいたという次第でございます。

黒田

確かにちょっと濃いめかもしれないですね。

本間

では早速「喜」ですが、どうしましょうか。どなたからいきますか。

黒田

私の「喜」は「問いが生まれる」。問いをベースに、問いを立てて、その問いに興味ある人が集まってZoomでディスカッションするみたいなコミュニティをやっているんですけど、ディスカッションの結果、きれいに結論が出て、もう私たちこのテーマについて分かったねってなったとき、別に私、全然うれしくなくて。

本間

と言いますと?

黒田

むしろ「あれ?これってまだ考えてないこういうことが残ってるよね」とか「こういう方針でも考えなきゃいけないよね」とか「こういう人を呼んで、またディスカッションしたほうがいいんじゃないか」みたいな、次につながってく感じがあると喜ばしいんですよね。なので閉じずに次に繋がるという意味で、問いが解決せずに新たな問いが生まれていくみたいな。

横石

過去にも結構そういうことって多かったんですか?

黒田

はい。たとえば「こんなテーマ、一回でやりきれるわけがない」ってなって。じゃあ次はこういうのやろうと、次にどんどん広がりが見えた。枝からまたさらに別の枝が生えてったみたいな感じで木が成長してく感じ。問いの木が伸びていく感じがしたので、それが好きでしたね。

本間

なるほど。誰かの問いが、そこから連鎖していくっていうことが意義になっていく感じですかね。では次、どっちから行きます?

横石

僕の答えは結構、亜流ですよ。

本間

亜流ですよね。いや、でもごめん。最後にしていいですか(笑)?じゃあ桜木さん、先に。

桜木

ちょっと2個の言葉になっちゃったんですけど「ジャンクション」と「昇り竜」で。

本間

こっちもぶっ飛んでた!亜流が続くな(笑)。

桜木

ジャンクションは交差点みたいな感じで、今のBONUS TRACKでまさにそういう状況がよく見られて、よく喜んでるんですけど。いろんな情報だったりカルチャーがひしめき合ってるような場所で、その真ん中にあえて余白の広場みたいなものがある空間になってる。そこにただ座ってるだけで、いろんな人やいろんな新しい情報だったりに出会えるとか、すごい情報量がうごめいてる感じ。

本間

たしかに、下北っていう場所柄もありそうですね。

桜木

はい。なので私はずっと同じ場所にいるんですけど、常に新しい感覚になれる。昇り竜っていうのは、ジャンクション的な場所で、湯気みたいにそれらが重なり合って立ち上がる瞬間がある気がしていて、すごい。これもありじゃん、これもありじゃんって盛り上がったときに、何か立体的になるというか。

黒田

なるほど。神龍がぶわっと。

本間

神龍ね。『ドラゴンボール』世代だ。

桜木

みんなでそれを見上げるみたいな、ちょっと抽象度高いですけど、そういう瞬間が結構好きです。

本間

立体的というのは、黒田さんの「木が成長していく」というのと通じるところがありますね。じゃあ続きまして横石先生。

黒田

いや、これは読むの難しいですね(笑)。

横石

そうですね。音や文字で伝えづらい。もし自分の喜怒哀楽を伝えるとしたらこういうことかなと思って、丸を二つ描いて、その丸がちょっと重なって。

本間

重なるね。ちょっとだけ重なってる部分ですね。

横石

基本は人ってばらばらじゃないですか。何かの縁で、人が重なる瞬間っていうのがある。人見知りの僕としては、こういういろんな人と交わる機会っていうのがあるのはすごい喜びだし、そういう場をつくっていきたい。そんな場所づくりに関与してるっていうことが、まずは喜びだなと思ったので書かせていただきました。

本間

なるほど。素晴らしい。横石さんってちなみに北条SANCIもやってらっしゃって、渋谷◯◯書店っていうのもやって、他にもいろいろ携わってるところがたくさんあるじゃないですか。そのコミュニティごとに出会いって意識的に、この場ではこういう出会いを生み出そうとか考えたりするんですか。

横石

あんまりルールとかマニュアルを作らないようにしていて。嫌じゃないですか。こうしなさい、ああしなさい、これやっちゃダメよって。それよりかは、自由に皆さんやってくださいって、そこでNGが出たら、これ今度からはNGにしましょうかみたいなふうに、そのコミュニティの中で自然と生まれてくる。じゃあそれ規則にしようか、とやっていくと、独特のゲームルールができてくるのかなという感覚ではあります。

管理しすぎないことの大切さ

本間

次、感情としては直接的な「怒」ですね。今度どうしましょうか、桜木さんいけますか?

桜木

はい。「目の前の状況に素直でない雰囲気」にしました。場所ありきの仕事をしてきたのもあって、すごい現場大好きなんですね。例えば一日のイベントを作ろうと半年かけて考えたけど、当日大雨降っちゃったとか。でもやりますってなったときに、なんで雨降ったんだよって一日中言ってて終わっちゃったらすごいもったいないと思うんですよね。

黒田

たしかに、もったいない。

桜木

そんなの誰もコントロールできないことだし。例えば目の前で起きてることに対して、やっぱ建設的に考えたいんですよ。この人来るはずだったのに来れなくなったとか、いろんなことがあると思うんですけど、それはそれで一要素でしかない。ずっと愚痴っぽくなっちゃうみたいなムードが続くと、違うっていうか。

本間

なるほど。現場中心、現場でやってらっしゃる方のご意見だなと思って。僕、映像の制作プロデューサーとしても活動してるので、現場で起きてることが全て。どれだけすてきな絵コンテ描いていても、現場でカメラに映ってるものが全てだっていうときに、コンテの絵と違うって議論しても、ここにあるんだよ、魂が!ってやっぱ言いたくなりますよね。

横石

僕は怒が一番難しかったっす。あんまり怒らない人なので。

黒田

これ、なんですか?眼鏡みたいな。

横石

これは丸が二つあって、その間に手錠をかけてるんですけど。

桜木

手錠だったんですね!

横石

コミュニティや場づくりにおいて、さっきマニュアルを作らないと言ってたじゃないですか。要は人と人は自然と惹かれ合ったりして混じり合うものだと思っているんです。そういう設計で北条SANCIをつくったり、渋谷◯◯書店をつくってる。だけど以前にスタッフが人と人を無理やりつなげる場面があったりして、それは自然じゃないなと。一方的に、あなたはこっちですよって手を引っ張るような仕掛けにはしてないんです。無理に繋ぐなら誰でもできる。発酵するのを待つみたいな感覚はあります。

本間

強制的なつなげ方に怒ったんですね。

横石

あと、渋谷◯◯書店の場合でいうと棚主さんは、店番もしなきゃいけないんですね。

本間

そうだね。僕も参加させてもらってます。

横石

僕は管理人とは名ばかりで基本的にはそこにいないんです。だから書店は100人の棚主さんが店番をしてくれることによってまわっているんですね。でも、うちのスタッフが心配になってついつい棚主さんのサポートに入りに行こうとします。

黒田

なるほど。

横石

それで怒りましたね。もう行かないでくれと。

本間

へえ、怒るところなんですね。

横石

棚主さんが自律できる仕組みや環境は最低限だけですが用意しています。ここは一般的な店舗ではなく、コミュニティ型の店舗運営です。必要以上の助けは棚主さんのためにならないし、この店のためにもならないよっていうことはしっかり伝えました。

本間

確かに横石さんがやってるTokyo Work Design Weekもそうだけど、風呂敷敷いて矢面に立ったのが横石さんであることは間違いないんだけど、この場を活かせる人にここのステージがあるよっていう渡し方をしてるよね、やり方としてね。

横石

それ、今優しく言ってくれたんですけど、本間さんからすると無茶ぶりされたっていう(笑)。

本間

そうそう。あとはよろしくみたいなこと、渡されることが多いんだけど(笑)。でもだいたい自分がやれないことのパスは回ってこない。その辺のさじ加減のところをコントロールというか、ある意味ちゃんと見てくれてるんでしょうね。そういう視点もマネージャーっていう意味でいうと、一つある部分なのかなと思うけどね。

黒田

いい流れで来てるところであれですが。あんまり私怒らないので、そもそもこういう怒りみたいなのがちょっと難しかったなとは思ったんですけど、とりあえず書いてみましたっていうのが「上下とか非対称」。

桜木

むずい。

本間

なるほど。

黒田

うちのコミュニティー、オンラインなので地域とかも関係なく、海外の方もいるし、東京以外の地域の方も結構いらっしゃったり。男性、女性、フリーランス、経営者、会社員、もういろんな人がいて、世代も結構違って、10代の高校生も入ってたりする。60歳以上のおじいちゃん、おばあちゃんみたいな方もいますし。

本間

幅広い!

黒田

そういう半世紀以上歳が離れた人が、一緒にコミュニティの中で話してるんですけど、そういうときに「私にはこういう経験があるから」とか「これだけ生きてきたから」と教えてあげる姿勢になっちゃうと、この人は「教えられる人」になっちゃうんですね、勝手に。いや、そういう教える人、教えられる人になっちゃうと、そこにコラボレーションみたいなものもすれ違いで起きなくなっちゃって。同じレイヤーにいないから、フラットになれないんですよね。

桜木

たしかに、上下関係が生まれますね。

黒田

学生は学生で「学生の専門家」だし、60代は60代、今の人生、生き方の専門家だし。女性は女性でその専門家、母親は母親としての専門家。それぞれの専門性みたいなところが掛け合わさって面白いアイデアが出たり、サポートし合えたりとかするのに、そこを非対称になって教えてやるよってなると、コラボレーション起きなくてつまらんなって思って、ちょっとむむって思う。

横石

いらっとしちゃう。

黒田

そう、ちょっとだけね。

本間

結構横石さんの怒りとちょっとニアリーですよね。面白いな、コミュニティっていう共通のキーワードで考えると、あまりこちら側からやり過ぎないっていうことが大事なんだなっていうのが、この会話の中では見えてきますね。

黒田

そうそう。だから運営サイドも上下に入っちゃいけないし、メンバー同士も上下になっちゃいけないしっていうことだと思ってて。なるたけ全員が同じ地平上にいるみたいな。向きが、向いてる方向が360度それぞれ違うんだけど、別に上にいる人、下にいる人じゃなくて、同じ平面上の別方向向いてるだけっていう、そういうふうにしたい。

桜木

私の言葉で言うと、結構私自分を透明にしてることが多いというか。

黒田

すごい。私、自分を脱臭するって言います、コミュニティから。

桜木

脱臭。それもいいかも。次から使います。何の味方でもないし、何でもないっていうか。個人的に好きなこととか嫌いなこととかはあるけど、仕事しているっていう状況のときに対しては、何かやりたい人を肯定するし、じゃあ一緒にこれをこうすれば場所がもっと良くなるかもと考えながら提案とかするんですけど。個人的なことを入れ過ぎないっていうか。透明みたいな。

本間

なるほど。すげえ。超勉強になります。今のお話。

横石

もっと勉強したほうがいいよ。

本間

すいません(笑)。

桜木

いえいえ(笑)。

本間

でもいい話ですね。怒っていうところにそこが皆さんのやり過ぎないこと、フェアを保つっていうことなんだろうな思いますね。

黒田

フェアは大事ですね。

後編に続く

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所属や肩書きにとらわれることなく、クライアントとクリエイターが肩を並べて協業ができる「つくり手」のための会員制クリエイティブコミュニティ。「BE THE _______ MAKERS.」をコンセプトに、「つくり手」自身の想いを実現させる事を共通目的とし、中目黒Pavilionを拠点したワークスペースの運用、会員限定のオンライメディア、コミュニティがビジネスの窓口となるCreative Jam Sessionの実施など、様々な施策を展開する。

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