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マネージメントの目線と展望に、確かなプロデュースのDNA。/SPEC
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事業のこと

マネージメントの目線と展望に、確かなプロデュースのDNA。/SPEC

ハッチ草創期から続く部署のひとつ「SPEC」は、その名が暗示するように所属クリエイターのジャンルも幅広いマネージメントオフィス。事務的側面からクリエイターの活躍を支えるこのチームの、プロデュース絡みのその成り立ちを主宰者の大瀬良に、またその営みや今後の展望をめぐりマネージャーとして実務を担うメンバー三名(朝本日和田塚田)も交えて話を聞きました。

ことの始まりも課題意識も、プロデューサー’s マインドから

ーープロデュースカンパニーのハッチに似つかわしく、SPECが始まるきっかけもまたプロデューサー的日常の中にあった、とのことですが?

大瀬良

そうです。ハッチそのものを興すにあたり本間と僕とで互いに何をやりたいのか、という話になった時、本間はプロデューサー、かたや僕は勤めていた会社の仕事とも並行させる必要があったし、マネージメントがやりたい、ということがありました。

なぜにマネージメントなのか、の部分ですが。僕はその当時からCMなどの映像を手がけるプロデューサー。仕事がら日常的にいろんなスタッフと会うわけです。ディレクター、カメラマン、ライティングディレクター、スタイリスト、ヘアメイク、美術、アーティスト、もう本当にたくさん。で、仕事で一日ご一緒したあと仲良くなった人とは「じゃあご飯でもいきますか」と。よくある展開ですよね。

そんな流れからの席で、ある時、酔いも回って冗談半分に「大瀬良さんにマネージメントを引き受けてもらえたらなぁ。やってくださいよ〜」と持ちかけられたことがあって。業種にもよりますがクリエイターはその多くがフリーランスであり、請求書を起こしたりスケジュール管理したりというのを自身でやっています。するとその人が忙しくなるにつれ負担が大きくなり、本来のプロフェッショナルな能力の発揮に支障が……となりかねなくて。書類の書式のルール然り、期限に間に合わせるとかいうこと然り、そもそもその辺りがどうにも苦手だと思い悩んでいる人もいたり。

ともあれ、そんな風にマネージメント依頼されたときは「こんなにも大変だったのに、ギャランティがこれだけ??なんてこともあって」といった愚痴も併せ聞いていて。そこでの感情移入もあって「そう言ってもらえるなら、僕、(マネージメントを)やっちゃいますか。全然いいですよ」みたいなノリで返事をした。スタートはそこからです。

ーーでも、それは単なる口約束に終わらなかった。本腰を入れて実際に立ち上げるに至ったのは、なにゆえでしょう。

大瀬良

やるのであれば本気でやらないと、という気持ちとは別に、実際にやれる予感を下支えする根拠も自分の中にありました。制作の進行をいつも俯瞰で見るのがプロデューサーの役割。その時々でのクリエイターの動きが手にとるようにわかるわけです。

カメラマンならこの日から現場に入ってもらいこの日に撮影してもらって、この日までにカラーグレーディングをしてもらって、とか。ヘアメイクさんなら前もってこの時期に打ち合わせをして、とか。演出家が関係する日は予定されている全日程にまたがるな、すると今のこのスケジュール感の中で具体的にどういう動きをしてもらうと良いか?と考えたり。こういうプロデュース脳がマネージメント方面にも活かせるだろうという考えをかねてから持ってはいました。

SPECを立ち上げるにあたり、やるなら是非ともこれを、と考えていたテーマのようなものが実はあって。ひとことで言うと「クリエイティブ業界の世直し」ですね(笑)。例えば、一日の拘束時間や撮影日数の割に「お支払い額はこれだけなんです」と事後になってはじめて金額の話がされて、しかもそれが少額(!)というケースも残念ながら発生するのがこの業界。そのような齟齬へのフェアな解決がなされるよう徹底しようと僕らはいつもしているんです。

こういった問題に出くわすなりすみやかにそれを共有し、事の解決を図っていく。このようにコミュニケーション上備えておくべきリテラシーは業界のすみずみにまで浸透させていきたいという気持ちがあります。

SPECを際立たせるポイント、そしてこれから

ーー単体のマネージメント事務所と異なる、ハッチという総合体の一ピースであるSPECが発揮しうる強みはというと? 日常業務の中の一例などを教えてください。

朝本

会社としてのキャリアが約10年ということは、古株のメンバーであっても基本的には経験値がマックス10年。そういう中で、プロデューサーとしてSwimmyにも携わっている私としては、過去30年来のプロデューサー経験で培ったノウハウの共有につど努めています。それが私が私にできることを全うするということですし。

例えば、起用したいクリエイターがいれば担当マネージャーに打診することはプロデューサーとしての役目ですが、マネージャーとして案件を担当する場合の私は、逆にその連絡を受ける側になるわけです。双方の役回りを肌身で知る立場がら、オフィスでSwimmyのメンバーが他社のマネージャーと電話でやりとりをしている際に気づいたことがあればフィードバックしています。「こんなコミュニケーションが出来ると先方はもっと良い提案を出してくれたかもしれないね」みたいな機微の部分についてのアドバイスなどですね。そうして私の経験値を還元することで、一見目に見えづらいような部分からもSwimmyのパフォーマンスを底上げしていけるはずですし。

ーー朝本さんがチームに加わったのも、SPECとして初めてCMディレクターを担当することになった際、プロデューサーゆえ仕事の一連のスキームを理解していて心強かった、とのことがあったようですね。この例に限らず、SPECの所属クリエイターの種類は次第にバラエティを増し、今や本当に多岐に渡っていますよね。

塚田

今、ひとりあたり7人ずつクリエイターを担当しているのですが、私の場合だと全員、職種が別々。ひとりとして同じ職種の方がいません。各人の業務に精通していないといけない中、経験を重ねる中で少しずつ増やして今の人数に至っているんですが、こうして実際にできるようになった体制的な面も含めSPEC全体の強みと言えるんじゃないかな、と思います。

塚田

普通ならカメラマンだけとか映像ディレクターだけとか、大体一定の分野に固まっているんです。SPECとして関わる領域が増えればそれだけ多くの業界に関して知ることにつながるし、実際のところ、私自身もすごく勉強になったし、仕事としてできることも増えました。

大瀬良

「SPEC」という命名から判るように、これを立ち上げた時点から所属クリエイターの職種に関して特に制限は設けていなかったんですよ。すると、あれよあれよと言う間にいろんな人とのご縁ができて、果てにはコレオグラファーや作曲家まで。

とても珍しいことだと思うんですけど、いろんな人の人生に触れられるのはとても面白みがあるし、こうしたつながりの豊かさがハッチとしても、クリエイターとしてもクリエイティブシナジーを生む契機になるわけで。OPEN FIRMが拡大中の今これからは、ますます意味を持ってくるでしょうし。例えば建築家であるとか、さらに新しいジャンルの方が入ることでいっそうその度合いも高まるんだろうな、みたいなことはよく想像します。

ーー人とのつながりの多様性それ自体が特徴であり、同時に可能性そのものでもある、と。未来のことを考えたとき、SPECの次なる一手とはどんなものになりそうですか?

朝本

これまでご一緒しているクリエイターは既に一線で活躍中の方ばかりで、こちらはマネージャーとしてサポート役に徹するわけですが、日和田さんは、今、さらにその先のことを考えていますよね?

日和田

はい。折に触れてみんなに話すんですが「これからの活躍が見込まれる人を見つけ、彼(彼女)とお互いに学び合いながら経験を積み重ね、高めあっていけたら、というのが私のひとつの理想としてあるんです。

大瀬良

そういうのもまたひとつのプロデュースの形なんです。チーム体制も整い成熟してきたし、僕らは新たにそんな挑戦もしていけるフェーズに来ているのかなと思います。

日和田

自分以外の人が担当するクリエイターが躍進する様子を見ると、「よしこちらも」とやる気や向上心がますます出てくるところは、私も皆さんも持ち合わせているところかなと思います。文字どおり切磋琢磨する、という感じで。

朝本

あと他にも、ベテランスタッフのキャリアをもっと生かす方法はないのか?と探っていく姿勢も最近改めて大切だなと思っていて。変に若手を後追いせず「自分の年齢でしかできないことをやっていきましょうよ」とは伝えたりするんですが、Swimmy、Do it Theater、Curatorといったハッチの各事業部の器の中でその経験を活かす具体的な機会も提供できるんじゃないか、と。

大瀬良

案件数的にしぼんだらそれでおしまい、ではなくて、腕前なり知識なりを若手に伝えたり、存分に力を発揮してもらえるチャンスをどうやって作っていくか。クリエイターのセカンドキャリアを築ける場づくり・機会づくりはハッチ全体として真剣に考えているところだし、多くの部門を抱える自分達だからこそ、ちゃんと実現可能性を伴った形で前へ進めていけるはず。そう思っているんです。

この記事の主役
SPECの紹介

「人」をプロデュースする

SPEC

広告やファッション、エンターテインメントなど様々なメディアで活躍するクリエイターが所属するマネージメント。その活動は撮影、スタイリング、ヘアメイク、演出、編集、作曲、アートディレクションなど多岐に渡る。各メディアに精通したプロデューサーが知見を活かしたサポートをする事で、よりハイレベルなマネジメント体制を実現している。

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